ぶどう膜炎

ぶどう膜炎とは?

ぶどう膜は、網膜と強膜の間にある膜状の組織である脈絡膜(みゃくらくまく)と毛様体(もうようたい)、虹彩(こうさい)の三つをまとめて眼球全体を包み込むように広がっています。ぶどう膜炎はこれらの組織に何かしら異常が発生して炎症を起こす病気です。

炎症がぶどう膜の一部に限定されている場合は、その場所によって前部ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎と呼ばれます。ぶどう膜全体に及ぶ炎症は、びまん性ぶどう膜炎、もしくは全ぶどう膜炎と呼ばれています。普通は片側の眼だけに発症しますが、両眼に出ることもあります。

眼底出血とぶどう膜炎ぶどう膜は、ぶどうの色をしていて、形も果物の葡萄(ぶどう)によく似ているのでぶどう膜といわれています。

ぶどう膜は、目の組織の中でも血管が非常に多い部分で、この血管が眼の内側、特に網膜に栄養を与えています。血管が多いということは血液の流れと関連するため、ぶどう膜だけの炎症そのものが原因ではなく、体の他の臓器に発生した炎症が原因があることがあります。

ぶどう膜は網膜とほぼ全面で接しているので、そこに炎症が起こると網膜に影響を与えやすいということです。網膜は、瞳孔〈どうこう〉から入った光を感知する、カメラのフィルムに該当する組織ですから、その感度が悪くなると、視力が低下して、ときには失明に至ることがあります。

ぶどう膜炎は、結構重症なものが多く、最終的に失明を引き起こす可能性が高くなっていますので、注意が必要です。

ぶどう膜炎の原因

ぶどう膜は、眼そのものに原因がある場合もあれば、全身性の病気が原因の場合もあります。

ぶどう膜に対する過剰な免疫反応や、細菌・ウイルス・カビ(真菌)などによる感染が原因となることがありますが、ほとんどの場合は原因がはっきりせず、特発性ぶどう膜炎と呼ばれます。

眼底出血とぶどう膜炎ぶどう膜炎患者の約40%には、ほかの臓器にも影響を及ぼすような病気がみられます。具体的には、ベーチェット病、強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)、若年性関節リウマチ、サルコイドーシス、原田病、膠原〈こうげん〉病、関節炎、腸疾患、皮膚疾患、脳神経疾患、耳鼻科疾患、糖尿病、あるいは血液疾患や悪性腫瘍などからくる全身性感染症などの炎症性疾患です。

このうち、ベーチェット病、サルコイドーシス、原田病は三大ぶどう膜炎と呼ばれ、免疫系の異常が原因で発症することが分かっており、これらの病気では、目ばかりでなく、それぞれの病気に特徴的な全身症状や検査所見が認められます。

ぶどう膜炎の症状

ぶどう膜炎の初期症状は軽度のものから重いものまでさまざまで、炎症の部位や程度、合併症によって異なります。

<前部ぶどう膜炎>

前部ぶどう膜炎は最も症状が激しく、眼の激しい痛み、結膜の充血、明るい光に対してまぶしかったりする、視力の低下などが特徴的です。また視力の低下 炎症によって集まった細胞や血液成分が硝子体に広がると、眼球内部が濁り、霧がかかったように見えたりします。

これらは、瞳孔が収縮し(縮瞳)、虹彩付近の結膜の上に血管が浮き出す、眼の前部(前房)を満たしている液体の中に白血球が浮遊する、角膜の裏面に白血球が沈着する(角膜裏面沈着物)といった所見がみられます。

<中間部ぶどう膜炎>眼底出血とぶどう膜炎

中間部ぶどう膜炎は、普通は痛みがありません。視力の低下、視界に黒く不規則な形の点が浮遊する(飛蚊症:ひぶんしょう)などの症状がみられます。

<後部ぶどう膜炎>

後部ぶどう膜炎では、視力が下がることが多く、飛蚊症もよくみられます。そのほか網膜剥離(初期症状として視界がぼやけることもある)、視神経の炎症(小さな視野欠損から完全な失明までさまざまな視力障害を生じる)などがみられます。

びまん性ぶどう膜炎では、これらの症状の一部または全部が現れます。

ぶどう膜炎では眼が急速に障害されることがあります。黄斑部の腫れ、緑内障、白内障といった合併症が長期間にわたって続き、視力を低下させることもあります。ぶどう膜炎は発症しても1回きりのことが多いのですが、中には数カ月から数年の間に再発する人もいます。

ぶどう膜炎の検査

隅角鏡検査、眼底の血管造影検査(蛍光眼底造影検査)、眼底検査、超音波検査、MRI、CT検査、血液検査、胸部X線検査などを行います。

ぶどう膜炎の診断では、細隙灯顕微鏡で角膜、前房、虹彩、前部硝子体を観察し炎症の有無を確認します。そしてさらに詳しく調べるためにその他検査を必要に応じて実施します。

一般的な眼科の検査に加えて、必要に応じて眼底の血管造影検査(蛍光眼底造影検査)を行います。また、場合によっては、血液検査・胸部X線検査などの全身検査を行って、原因の究明や治療効果の判定を行います。

ぶどう膜炎の治療法

ぶどう膜炎治療は、眼に永久的な障害が出るのを防ぐため、早期に開始する必要があります。ぶどう膜炎の治療の中心は副腎皮質ステロイド薬や抗炎症薬の点眼や内服、あるいは点滴です。

眼底出血とぶどう膜炎原因が細菌などの病原微生物による場合は、その病原微生物に効果のある薬が使用されます。スコポラミン、シクロペントラート、アトロピンなど、虹彩の瞳孔癒着、閉塞隅角緑内障を防ぐため瞳孔を広げる散瞳点眼薬も使われます。

ぶどう膜炎の原因を治療する目的で他の薬が使われることもあります。たとえば、感染症が原因の場合は、感染源である細菌や寄生虫を除去するための薬が処方されます。茶目(虹彩)は水晶体と癒着しやすいので、これを防止するための治療も同時に行われます。

三大ぶどう膜炎と呼ばれるベーチェット病・サルコイドーシス・原田病では、基本的な治療法がやや異なります。ぶどう膜炎の原因や重症度によって、治療法や治療の程度は異なります。

ほかの臓器にも影響を及ぼすような病気が疑われる場合は、それに必要な検査も行います。

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